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バンドを、だからね。そういうことにしておこう。
「あれ? 忍は?」
今度の声はギターの誠さんだ。どうやら、空を飛んでいた玲次の視線が誠さんとぶつかったらしい。
「忍さんはあっちに」
玲次が奥に行ってしまった忍さんを指差すと、誠さんは舌打ちをした。
「んだよ、ったく。まぁいいか。…あ、龍樹」
今更僕に気づいたのか、持っていたグラスを僕に差し出す。
「おつかれ、呑むか」
「ごめんなさい、僕呑めないんで」
「あ、そうか」
誠さんが何で覚えてないかって、いつも忍さんと一緒で、同じテーブルで呑んだことが殆どないから。忍さんがちゃんと覚えてたのは、性格のもんだろうなぁ。
「ナイトメアではお世話になりました」
「また手伝いに呼ぶからな。ルージュレイズも見に行くし」
そして、玲次に。
「お前にも期待してるし」
これは、玲次にしてみたらとてつもなく有難いお言葉だろう。ジーラスなんか顔パスで入れるって言うのに、ナイトメアだけは意地でお金払って見てたもん。
そのうち、彼らの話は僕にはさっぱりわからないギター談義になっていってしまう。
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