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仕方ないので、玲次の吸い差しのマイルドセブンをくわえてぼーっとする。辺りを眺めていると、向こうの方でヒロさんが僕に手招きをする。
くすぶっていたタバコを灰皿に押し付け、狂絵さんと誠さんに挨拶をして席を立つ。
「何?」
「暇そーじゃん」
「ギターの話始まっちゃったから」
ヒロさんはセーラムをくわえて、くすくすと笑う。
「んで、拗ねてるって?」
「拗ねてるんじゃないけど」
「そんじゃ、ここにいなさい」
空いてる席を示され、素直に座る。
ヒロさんと一緒にいたのは、青紫の長髪のお兄さん。こんな派手な頭してたら、会った記憶もありそうなんだけど。
彼は微笑して僕に話しかけた。
「はじめまして」
「あ、はじめまして」
やっぱりはじめましてか。何喋ったらいいのかな。
「えーと、イノラン、好きですか?」
何聞いてんだか。ちょっとイノラン風の出で立ちだってだけなんだけど。
「え? ああ、別に意識してるわけじゃないけど、よく言われるよ」
「僕、ルナシー好きなんですよ」
「そう? …どの曲が好き?」
「えーと…」
うーん、会話のテンポが悪い。
「プレシャス、とか」
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