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 そもそもジーラスの立地は、名古屋の端だ。周囲は住宅と学校があるエリア。そこに歓楽街の要素を求めること自体が間違っている。名古屋で遊びたければ、もっと中心街に出なければならないし、そこなら東京や大阪にそこそこ引けはとらない、と崇純は考えている。  苛立ちが爆発してしまわないように、混雑する楽屋を抜け出してフロアに出た。自分が短気なのは、自分が一番よくわかっている。スタッフの幾人かが立ち働いているのを眺めながら、しゃがみこんでタバコを吸う。  まったく、苛々する。  地元愛には溢れている方だと自負している。よそものからバカにされるのはいい気持ちはしない。  首をうなだれ、ため息をつく。 「さっさと終わってくんねぇかな…」  呟いて顔を上げようとする。が、何かが髪を引っ張っている。無理に上げようとしても、痛みばかりで埒があかない。  長い後ろ髪が何かに引っかかっている。  手探りで元凶を探し出すと、衣装に大量に留めてある安全ピンに髪が絡みついているようだ。 「しまった…」
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