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相当に短気だったかもしれない。
しかし、崇純は怒鳴ってしまった。
「バカにしてんじゃねぇよっ!」
それが、遠回りの始まりだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そのイベントも、一応は愛想よく挨拶を交わすところから入った。会場は勝手知ったるジーラスだ。
東京、大阪、その他地方からの参加バンドは、崇純のナイトメアも含めて6バンド。
初対面の者も多かったが、おはようございますに始まり、適当に世間話などをして、それなりに楽屋のムードは穏やかだった。
「しっかし、何もねぇんだな、この辺」
東京から来ていたバンドマンが崇純に言った。それも、多分に皮肉を込めた口調で。もっと冗談らしく言ったなら、崇純とて引っかからなかっただろう。
「ほーんま。ジーラス初めて来たんやけど、全然遊ぶとこないねんな!」
関西の連中が割り込んで発言する。それでも、崇純は耐えていた。始まる前からいざこざは起こしたくない。
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