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召喚にはなにか大きな力が必要らしく、リアムは地下室に儀式に使うような場所を作った。
魔法陣があって台座がある部屋。
そうそう、これこれとローブを着て、台座のまわりに魔法陣を描いてるリアムを見る。
王子様とお話するところまで見ようとしたら、集中できないからと追い出された。
渋々と私はヒナタが幼稚園から戻る前にと、私の仕事をする。
家の掃除はほぼしなくても、いつもぴかぴか。
ホコリはどこに消えるのか私のほうが不思議な家。
洗濯やごはんの下ごしらえが終わって時間があったら、お母さんがリアムに任されている会社にいって、お母さんのお手伝いをしている。
ゲームの開発はしていないけど、システムエンジニアと思われる仕事もしてる会社。
これだ、絶対と過労死した記憶の私を重ねる。
とはいっても、ここのお仕事、メインはもちろんそれじゃなくて発明品をつくること。
リアムが機械を知りたくてその分野を増やしたせいで、過労死の私ができあがったようにも思う。
ただ、この会社、従業員は5名ほどで、ほとんどはリアムが発明したものを使いたいといってくる人との交渉。
売り込むような営業もしていない。
営業はしてないけど、発明に特許をとってるから、そこから他の人が広げていくにもわけてくださいお願いしますとリアムに申請される。
リアムはそこにお金をかけて商売してる。
知識を売ってる。
私にはわからないものが売り物になっている。
お手伝いの間が悪いと、わからない売り物を買うような頭のいい人とのお話につきあわされる。
これも私をブラックな職場の社員にしたようにも思う。
ほとんどのお手伝いは書類整理。
確かにデスクワークかもしれない。
というか。
私、死んでなかったのに棺に入れて霊安室みたいなところにおいてくれる旦那様ってどういうこと?
なんて、今更少し怒ってる。
普通にベッドに寝かせてくれないところがリアムらしくも思う。
何気に意地悪。
うぎゃあっとなった私の反応はリアムは予想していたに違いない。
帰りはお母さんと一緒にヒナタを迎えにいって喫茶店に寄ってお茶をして。
リアムもヒナタも好きなごはんを作ろうと食材を買って帰る。
見たこともない、私のお腹にいた太陽になった子を思って、沈む夕日を見る。
見たこともない、まだ本当ならお腹にいるはずの子を思って、自分のお腹を見る。
ヒナタが私にはいるけど。
それは私の体ではなかったけれど。
私の赤ちゃん。
ベルソレイユにあげた1人目。
王子様が育ててくれているらしい2人目。
……そばにいたい、なんて思うのはだめだろうか?
王子様はリアムをきっと求めるから。
あの世界で生きたい、って、だめだろうか?
そこにはリアムの親しい人もいる。
2人目のママにはなれないかもしれないけど、どんな姿になっていくのか見たい。
1人目はその太陽の光を感じられれば、そこにいると思える。
私、ママなのかも。
血の繋がりもなくて、産んでもいなくても。
ヒナタがここにいて、元気に笑ってくれるから、ママになったのかもしれない。
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