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もしかしたらこの人たちは、もっと悪魔になったほうがよかったのかもしれない。
いや、1番てっぺんにいるような王様が悪魔だったなら、もっと研究の成果があったかもしれない。
王様が優しいからこうなんだろうなとキースさんを見て思う。
社畜やらせる会社の社長のようなものでは決してなさそうだ。
うちの会社の社長、絶対社員を家畜にしか思ってない。
思いやりがあったなら、それがどんな酷使しているものかわかるはずだっ!
…って、こんなとこで愚痴を吐いても仕方がない。
「妊娠させるとしたらどうやって?」
恐る恐るとそこを聞いてみる。
私の予想が当たれば…。
「精子を体内に入れて受精卵をつくります。……誰も誰かとセックスしてくださいとは言っていません」
さすがにその単語には真っ赤になってしまった。
というか。
予想以上がきてくれた。
体外受精どころか、体内にいれて受精卵つくっちゃうって。
私の世界ってどれだけ遅れているんだろとも思ってくる。
というか。
セックスって考えてなかったよぅっ!!
……というか。
この世界で妊娠するの、ものすごく簡単なことなのでは?
「胎内に受精卵あれば妊娠しているでいいんですよね?……誰の精子かわからないのはものすごーく不気味ですけど」
「……提供することになるとしたら私です」
目の前のイケメンが、ものすごく不服そうに恥ずかしそうに言ってくれる。
なにか邪な妄想しそうだからやめてもらいたい。
「決まってるんですか?」
「決まってます。検査の結果。……俺だって嫌ですよっ!?そんな検査結果はっ」
恥ずかしすぎて取り乱した模様。
俺っていってる。
それが本当のキースさんらしくて、私はそっちのほうがいい。
ただ、キースさんの精子もらっても産むことはないのだろう。
妊娠するだけ。
あとはベルソレイユが判定する。
……私が消えずにベルソレイユが目覚めたらどうなるのかはわからないけど。
うーんと悩んでみる。
提供者に不足はない。
この世界で唯一知ってる人くらいのキースさんなら問題はない。
どこかの知らないおじさんと言われるよりはいい。
ただ、そんな簡単に妊娠していいのか迷う。
「そりゃ研究ばかりで女気ありませんけどっ。たとえ提供だけとは言っても自分の子供をつくることになって、更にその子供は生まれることなく消される運命でっ。そんなものを提供することになるなら、その可能性を否定する論文をつくるしかないのですっ!いえ、その前にこの研究をやめてしまえばいいのですっ!」
キースさんがどこか頑なに私を説得してやめさせようとしている理由が見えたかもしれない。
自分が提供したもの、とわかってるのは複雑だよねーと思う。
誰のを使ったのかわからなくする…は、研究者の立場から無理かもだけど。
というか。
イケメンなのに彼女いないなんてもったいない。
研究ばかりって社畜のよう。
まぁ、ベルソレイユの裸を見慣れるくらいはいつものものとして見るんだろう。
「じゃ、直接種つけてくれません?」
軽くかるーく言ってみた。
キースさんは私を見てしばらく無言になったあと。
爆発するかのように真っ赤になって私から顔を逸らした。
……私に男を引っ掛ける才能なんてあるはずもない。
あったなら今頃結婚して2児の母でもやってるかもしれない。
やらかした。
とりあえず笑ってごまかしてみた。
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