死と夢

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今の私は恋人ではなく、それこそ目指せ王女様とキースさんの関係というところかもしれない。 あの親友くらいの男女関係ないものには今の私ではなかなかなれるものでもない。 それこそ幼なじみ、小さい頃があってこそのもの。 思春期というもののはずなのに、仲良しなキースさんと王女様の14才くらいの姿を浮かべる。 くっついていてもベタベタしてるって感じでもなくて、いちゃいちゃしてるって感じでもなくて。 大人しい優秀なお兄ちゃんと腕白な妹みたいな。 でもでもでもっ。 キースさん、優しいし、かわいいし、かっこいいし、頼りになるし、知識も豊富だし、物腰柔らか丁寧で、なにより高身長イケメンだしっ。 このクソガキがーっ!と生意気だと年下だと怒れるようなものもなくて、本当に私が若返ったような気持ちで気を抜くとらぶらぶしたがってしまってる。 そうじゃなくてと引き戻すのが大変。 そして私を妊娠させてと言うのが、ものすごーく恥ずかしいことになってしまってる。 魔法でぱぱっと簡単なあれを望んでいるのだけど。 精子出すってつまりそういうことでああいうこと、などという邪な妄想が入って、なにかセクハラのようで言えない。 うきゃーっと勝手に恥ずかしくなってる。 恥ずかしいだけでもないけど。 いや、でも、セクハラ。 三十路女にそんなこと頼まれる20前半なんてセクハラ。 新入社員にお局化した未婚が迫ってる姿を妄想してもらえるとよくわかるだろう。 見た目16だけど。 中身は立派に30年生きた女だ。 セクハラ発言は控えるべきだ。 見た目はキースさんにとっては王女様に瓜二つ。 王女様はそんなこと言う人でもない。 16の私だって言わない。 でも言わずに1ヶ月は長い。 ベルソレイユに挑戦する覚悟くらいは最初からある。 消えてなくなっても。 悔いは……。 キースさんの姿が頭に浮かぶ。 何人も王女様に似た人を挑戦させて見送ってきたという。 あれだけ仲良しだった人を何度も失って見送ってしまうようなものかもしれない。 私だったらさすがに嫌になる。 消えてなくなるよりは成功させたい。 あなたのために。 世界のすべてのためなんて大それたものでもなく、ただ、あなたのために。 私の体、これは、きっと、ニセモノ。 あなたが創った入れ物。
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