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その目は欲しそうに私の唇を見るのに、なかなかキスがこない。
まだかなと待ち構えてる私がいる。
まだ?と焦らされてる私がいる。
待った。
こいこいと待った。
こないから、私からキースさんの唇にキスしてやった。
軽くふれて離すとキースさんは赤くなって私を見る。
「キスしたら、魔法食べられる、とか、ないですか?」
「……あります。俺が意識すれば」
「ちょーだい?」
私はよじ登るようにキースさんの頭の後ろに腕をまわして、キースさんは慌てて私を支えるように私の腰に腕を回す。
それでもキースさんが背が高いから、私の背では唇を奪うことはできない。
屈んでくれたらできる。
じーっとその目を見ておねだり。
「俺…、なんか、やっぱり、エレナに食べられる…みたいで…」
どこかしどろもどろでかわいくなってくれる。
ぎゅっぎゅっと唇を引き寄せようと押さえつけていたら、キースさんは観念したかのように少し屈んでくれて。
私はその唇を食べる。
唇で愛撫して、魔法をもらうように舌をキースさんの唇の隙間に入れて。
いっぱいキスしまくった。
このまま食べちゃおうとキスしながら服を脱がせていく。
半裸まで剥いて、あとはベッド…と思っていたら。
「……まだ。俺が満足するまで。あげない」
私のキスをとめて、そんな意地悪くれちゃう。
ぶぅっと頬を膨らませると、私に笑いかけてくれる。
「……私、キースさんよりかなり年上だけど。嫌じゃない?」
ふと私の年齢をキースさんが知っていることを思い出して聞いてみた。
「……なんか、エレナはクリスティアに色気を100倍足した感じかもしれません」
それを言われて、元気に飛び跳ねてる王女様を思い出して。
私は吹き出して笑った。
「……エレナのほうが、その、俺は……好き、です……」
恥ずかしそうにキースさんは言ってくれる。
色気だけって、どうなんだ?とも思うけど。
それは私と王女様の生きてきた年数の違いかもしれない。
「私の体、壊れないように毎日キスして?」
なんて言ってみる。
16の私には決して言えなかっただろう。
どこで覚えたのか女はあざとくなっていく。
特に気に入られたい男の前では。
キースさんは私の頬にふれて、私の唇にキスをくれた。
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