さよならの前に

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世の中ってブラックなもんだなと思う。 会社という組織ではなくても、人が集まる社会には何かしらあって、相容れないものが誰かの心に歪みをつくる。 誰かのせいにして憎むこともその1つになって、連鎖を引き起こしてまた別の誰かの心に歪みをつくることになる。 ほんと、仏にならないと、死んで感情というものをなくさないと、どうしようもない生き物なのかもしれない。 私だって、私のしょーもない人生、就職のせいにしたけど、その道を選んだのは私で、そこから逃げずに居続けて倒れるまで働いたのは私だ。 そして今、私はすべてをあとに残るものと思ってるキースさんに任せて、責任をかぶせて死のうと思ってる。 キースさんの気も知らないで。 最低だ。 だけど、あなたが死ぬのだけは絶対に許したくない。 許し…たくはないけど。 賭け事。 どうなるのかなんて誰にも予測はできないこと。 特に私は人間でもないのに、それに挑戦しようとしている。 研究材料となるには絶対にいいもののはずだ。 誰かの命をこれ以上奪うことなく、キースさんを苦しめるようなこともなく、更に研究を進められる可能性がある。 声よ、私を導け、って、未だに私は厨二病か。 死んでも治らないのか。 身を粉に本当にしてまでなにを尽くそうとしているのか。 それでもここに愛はある。 私の神様。 私はあなたを苦しめたいわけじゃない。 ぎゅうっとキースさんの頭を包むように抱いて、よしよしと頭を撫でて、いっぱいいろいろ考えて、私なりの決断は出た。 「結婚します!」 相手はひどく弱った姿を見せてるのに、私は元気にはきはきと答えた。 私の初めてをキースさんにあげることになるとは、うれし恥ずかし。 でもがんばる! 社(キースさん)のために、私、いいお嫁さんになる! あなたのための体、あなたがいたからここに在る私だから、心もあなたにあげちゃう! もーう、私ってば、8つも年下のイケメンを数日で捕まえちゃうって、魔性の女!? でもでも、今の体はちょっと脆いけど16のぴっちぴちだし! 文字のまま、私はあなたに身も心も尽くす。 私のすべてを捧げる。 かわいい、私の神様。 ちゅっと愛しさをこめて、キースさんの頭にキスをして。 ちゅっちゅっしまくって、その顔をあげさせると顔中にキスをしまくる。 私のというマーキングかもしれない。 キスをこれでもかとしまくっていると、さすがにキースさんのほうがどこか恥ずかしそうにとめてくれる。 「結婚して子供つくってくれるんですよね?で、挑戦してもいいんですよね?」 「……エレナ、俺の命を君に預けるようなことをするって言ったつもりなんだけど」 「おけです!了解しました!私が失敗すれば世界は滅ぶ。了解です!」 私は敬礼して上官に答えるように答えてみる。 さすがにお遊びがすぎたのか頭突きをいただいた。 痛い。 体が欠けても痛くもないのに、血も出る体でもないのに、こういう痛みはあるって不便なもののようにも思う。 「君と生きるのは…楽しそうだね」 私に頭突きして、少し顔を伏せたまま、キースさんは言ってくれる。 それが決して明るく楽しそうな言い方でもないのはよくわかってるのだけど。 「任せてください!性の営みも培った経験で楽しませてみせます!」 真面目にふざけて言ってあげる。 なんか、エロいのが私にされそうだなと思うけど、まぁ、いいやということにしとく。 生きるために。 逃げない。
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