呼び声

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キースさんの本気の目がまっすぐに私を見ていて、なにか私が責められているようにも思って泣きそうになる。 「鍵となる者の条件は、しかし、まだまだ研究中で、必ずあなたならこの世界を救っていただけるとは言えません。世界でもこの国が1番、太陽の研究が進んでいるとは言えますが、あなたなら太陽を目覚めさせられるとは言えません。なので、これは賭け事なのです。あなたの命を使っての」 更にはなにか生贄になれみたいに言われたように思って、今更のようにとんでもないところへ召喚されたように思う。 というか、私の命、まだある? 溺れたほうが夢だった? もうわけわかんない。 ただ、わからないわからないばかりでもなく。 キースさんが私にしてほしいことはわかったようでわかってない。 「太陽を目覚めさせるってどうやるんですか?」 そう。それ。 まったくもってわからない。 「ベルソレイユを目覚めさせることができれば可能なはずなのです。ベルソレイユは私たち研究者が創り出した新たな太陽です。もとの太陽の因子を集めたもの。彼女を目覚めさせる方法はあなたが彼女に接触することです。接触の方法も研究途中ですが、まずはベルソレイユに会っていただけませんか?」 「会えるの?人なの?」 「人…というか、人の姿をした精霊のようなものですよ。核となるものは太陽の因子ですが、あとのその姿を形づくっているものは魔法で人工的に造られた素体。……などと、ベルソレイユがどうやって造られたのか話しても理解はいただけないと思うので。会っていただけるなら参りましょう?会うだけならあなたにはなんの危害もありません」 それならということを言われて頷くと、キースさんは立ち上がる。 その手を差し出されて、反射的に手をのせると私の手を包むように握って立たせてくれる。 ものすごーくキースさんは普通にしてくれるけど、いきましょうと手を差し出してくれる男なんて身の回りにいなかった。 このお嬢様のような扱いがなんかいいなぁと思う。 その大きな手も指が長くて綺麗だ。 こんなイケメンと恋愛してみたかった人生だった。 ……というか。 だから、私、死んだはず。 キースさんに言って通じるのかわからなくて言えないけど。 キースさんに言ってみなきゃとは思いつつ、言えないまま。 キースさんについていくと案内されたのは近代的な機械だらけの部屋だった。 部屋の中には何人か白衣を着たいかにも研究者といった人たち。 キースさんの背中に隠れるようにして、部屋の中を見渡していた。 ベルソレイユはどこかな、と。 「キース、召喚は…」 なんて誰かがキースさんに声をかけて、私はちらっとキースさんの後ろからその人を見てみた。 キースさんと同じ歳くらいの若い男。 瞳はキースさんのような猫の目でもない。 その人も私に気がついて私を見て言葉を止めた。
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