俯瞰

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俯瞰

 楽しかった文化祭も終わり、終わりを告げるスクールファイアーも終わる。万年の栄光を謳ったローマ帝国ですら、崩壊をしたのだ。1高校の一夜のお祭りなんて、もってのほかだ。 「よっちゃん。彼、上手く行ったかな。」 「屋上貸してやったんだぞ。上手く行ってなきゃ困る。」 「まぁね。」 「今年も全く売れなかったなぁ。一年に3回じゃ少ないかもなぁ。」 「もう次のことを考えてるの?」 「来年は受験だぞ。今年で新入部員入れなきゃだろ。」 「鬼に笑われるんじゃない。」 「笑われてるぐらいがちょうどいいのさ。」 「たしかにねぇ。」  空へと登る朱の鯉も勢いを落とし、残るは火の粉のみ。  バケツを持った実行委員の掛け声で、火は消える。  終わりの終わりが終わる。  始まるのは、普遍的な日常。  終わってしまった人も、始まった人も、文化祭の終幕に惜采を送る。  訪れる一瞬の静寂と、白熱電球の光。 そして、文化祭が終わった。
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