この指とまれ

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 店の鍵を開け、先に女の子を中に入れる。そして私も中に入った、途端――  扉が独りでに閉まり、鍵がかかる音がした。鍵を開けようとするが、なぜか開かない。  女の子がゆっくりと振り返る。 「ねぇ、隠れん坊しよう……」  その口は動いていない。 「隠れん坊する人、この指とーまれ」  私は逃げだそうと、先ほどよりも激しく鍵を開けようとするが、やはり開かない。  その扉の横、陳列窓のところにある二体の人形もゆっくりこちらを向いて、女の子と同じように人差し指を立てた。 「隠れん坊する人、この指とーまれ」 ――どうです? この爺の話は。え? その後玩具屋の店主はどうなったかって?  次の日にはいなくなってましたよ。夜逃げですね、夜逃げ。ずいぶんと借金がありましたからね。  え? 『女の子と人形と一緒に隠れん坊しているんじゃないか』と。  あなたも面白いことを言いますね。  で、この話はもう少し続くんですけどね……。
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