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次の日の朝――
女の子が目覚めるとまたとなりから人形が消えていた。
母親がまた捨てたのだと思い、急いでゴミ置き場へ向かうが、そこに人形は無い。
味噌汁の匂いがする母親に、お人形さんをどこへやったの――と聞いた。
おやすみの前にきっとミサちゃんがあそこに置き忘れたんでしょ、と外にある共同トイレのほうを指差した。
くみ取り式の便器の右側で
――見つけてくれて嬉しいわ。
ちょこんと座った人形が微笑んだ気がした。
次の日の朝は押し入れの中、ふすまを開けてすぐそこに人形があった。
――見つけてくれて嬉しいわ。
なんだか気味が悪い――とミサは思った。
一度そう思い始めると、昨日までのようには可愛がれなくなった。
一緒に遊ばなくなり、一緒に眠らなくなり、ミサは今まで人形と一緒にやっていたことをすべて一人でするようになっていた。
その様子を見た母親は、大人になってきたんだわ――と何一つ疑問を持たず、むしろ子の成長に歓喜した。
しばらく見ないあの人形はきっとミサが自分で処分したのだろうと思った。
ミサに異変を感じるようになったのは、それからしばらく経ってからことである。
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