やり直しの初体験

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やり直しの初体験

 あの日から3か月が経とうとしている。  佑は、真矢に申し訳ない気持ちで待つと言ったけれど、正直言って限界だった。  大好きな相手が手に届くところにいるのだ。健全な男子高校生としては、抱き合いたいと思わないはずはない、と佑は思う。  真矢だって男だから、抱かれるのに抵抗があるのは仕方がない。だからと言って、こればかりは譲れない。  佑はどうしても真矢を抱きたかった。自分の手で、乱れる真矢を見たかった。思う存分感じさせて、普段は見られない真矢の姿、誰にも見せたことのないその姿を見たかったのだ。   「佑、明日は暇?」  金曜日の夜、真矢からのメッセージに、佑はもちろんと返す。 「じゃあ、もう一回、あのホテルに行かないか?」  真矢の誘いに、くらりと目眩がした。佑の下半身が見せた幻覚かと、瞬きを繰り返してスマホを凝視する。何度確かめても消えない文字に、佑は慌てて返事を書いた。    二度目の正直なんて言葉はないけれど、佑は絶対に失敗したくなかった。 「真矢、本当に俺が上でいいのか?」  あの日と同じホテル、ダブルベッドに横たわる真矢の上で、聞かずにはいられない。  無理なら、泣くけど、でも、真矢を傷つけたいわけじゃない。握り合いっこでも、兜合わせでも、素股でもいい。真矢が気持ち良いならそれでいい。無理に挿入に拘らなくてもいい。  佑の決心は、真矢の一言で脆くも崩れ去る。 「グダグダ言わずに、抱けよ!もうとっくに覚悟はしたんだ、俺は。じゃなけりゃ、自分で尻の穴洗ったり広げたりするわけないだろ……」  佑の理性が引きちぎれて、粉微塵になった。    赤くなった真矢の顔じゅうにキスの雨を降らして、そのふっくらとした柔らかい唇に噛み付いた。  最初は探るように、そしてだんだんと深くなるキス。佑の手は真矢のすべすべの肌の上を撫でさすり、胸の尖りを優しく摘む。  「……っ、ふっ、く、くすぐったい、たすく、そこ、やめっ……」  やっとキスから解放された真矢の口から、甘さを孕んだ声がする。  その口の中に、己の指を含ませて、佑はその唇で優しく鎖骨に触れて、ぺろりとそこを舐める。 「真矢はあまいね」  佑は真矢の耳に息を吹き込むかのように、そう囁いて、耳の中を舐めた。乳首を摘む手は、やわやわと揉んだり捏ねたり弾いたり、忙しなく動いていた。 「……っ」  何か言いたくても、佑の指が邪魔で、言葉にすらならない。  真矢はおずおずとその指を受け入れた。拙い舌の運びで佑の指に奉仕する。  空調は効いているはずなのに、佑も真矢も、しっとりと汗をかいていた。    佑はひたすら、真矢が気持ちの良い場所を探した。  頸筋、鎖骨、胸と、その中心、脇腹にお臍、背中の肩甲骨の辺りまで、執拗に触れて、舐めて、確かめていく。  佑の中心は痛いくらい張り詰めていた。  そして、真矢のピンクの陰茎もまた、透明の滴で濡れていた。 「……たすく、もっ、触って……」  真矢はあまい痺れと、過ぎた快感に、佑に救いを求めた。 「真矢、気持ちいい?真矢の可愛いところ、もっと見せて……」  佑は真矢のそこを、優しく撫でて、その先端をぐっと抉った。 「ひぁっ、……や、やだっ、たすく、でるっ、なんかでちゃう……」  真矢の悲鳴のような喘ぎ声に、佑もイきそうになる。 「一度いこうか、一緒に、真矢っ……」  佑は二本の陰茎を重ねて握った。  ほどなく、2人同時に果てた。    それからは、佑は、無我夢中で、貪るように真矢を抱いた。  最中の記憶が所々曖昧になるくらい、夢中で、ただただ真矢が可愛くて、愛しくて、幸せで、今死んでも悔いはないと思ったほど、気持ちが良かった。    真矢と2人で帰り道、佑はそっと真矢の手を握った。  辺りはすっかり暗くなって、人通りもなくて、握った手の温度が気持ちよくて、2人とも言葉はなかったけれど、この幸せがいつまでも続けばいいと、そっと願った。
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