《17歳男子の日記》

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

《17歳男子の日記》

4月26日 昔のものだと思われるノートが出てきたので、日記をつけることにした。 このページより前にも何か書き込んであるのだが、小さい頃に書いた文字なのか、全く読めない。もはや宇宙語のようだ(笑) 自分にもこんなに幼い頃があったのだとしみじみとした気持ちになった。 4月30日 今朝は、駅で義彦とばったり会って一緒に学校に行った。 朝から気分が良くなった。 駅といえば、先生の学生時代には改札というのは、いちいち切符という紙切れやカードを読み込ませなければ通れなかったらしい。 全く想像がつかなくて笑ってしまった。 定期コースのお金さえ払っておけば、顔認証で改札が開くのだから便利になっていい世の中に生まれたと思った。 5月3日 今日は、調理実習でクッキーを作った。 同じ班の緑ちゃんのクッキーをどちらが食べるかで取り合いの喧嘩になって、田中と有田が怒られることになった。高校生にもなって馬鹿だなあ。 5月5日 今日は同級生と公園に行った。 自分たちで行ったんじゃなくて先生に連れていかれるんだ。今日で何度目だろう。俺たちのために作られた、なんて、舐めてんのか?って感じだ。 それを義彦に言ったら、「反抗期か?」ってからかわれた。あいつも同じこと思ってるくせに。 義彦といえば、俺は例の公園に何度も行った記憶があるのに、あいつは最近初めて行ったって言うんだ。義彦とは小さい時からずうっと一緒にいるのに変だな。 5月10日 今日も放課後は公園だった。いやになるよ、ほんとに。 でも、確かにあの公園は変わった遊具ばかりで少し面白くはある。 丸い屋根だったりくねくねしてたりする変わった建物のミニチュアとか、『デカベリア』って看板のついた、不思議な彫刻?とか。 まるで近未来予想図みたい。 あ、科学館だと思えば楽しいのかな? 5月20日 今日は隣の星についての授業があった。 隣の星では深刻な少子化が起きているそうで、これまでも何度も地球から子供を奪っていったらしい。背筋が凍るような話だと思った。 奪われていった子供たちを地球側が取り戻しても、また奪い返そうとしてくる執念深い人類らしい。 俺たちは、無事もうすぐ大人になるが、近所の小さな子たちが狙われないことを心から祈る。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!