取り合い

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 また、風が吹き抜けるような轟音がした。そして今度は、地面が逆方向に動き始めた。 「えっ」  俺は来た方向に戻されていた。 「おい、どういうことだよ」  地面の動きは予想以上に早く、立ち上がろうとするも、寝ぼけた二日酔いの頭では、うまく実行することはできなかった。  また、風が吹き抜ける轟音がした。 「うわっ」  それを合図に、地面はまたもといた方向に動き始めた。  明かりが、こちらに向かって流れていた。何もわからず、俺は声も出せずに、ひとりしゃがみこんでいた。  地面は行ったり来たりを繰り返し、上空の明かりはせまっては遠ざかるを繰り返していた。その前後の動きに酔ったのか、時折吐き気に襲われた。立ち上がろうにも、地面の速さにおいつけず、ふらふらとよろめくだけで、上手く2本の足で立つことができなかった。
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