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轟音がすると、動く方向が変わったり、変わらなかったりする。段々とそのことがわかってきた。からだを動かしているせいか、徐々に頭も回ってきた。
動ける範囲で、懸命に俺は前に進んでいた。俺の歩みは小さかったが、しかし、確実に俺を前へとおし進めていた。地面もそれを後押ししてくれていた。どんどんと前へ進んでいく。
心なしか、目の前の闇の向こうに、白いものが見えるような気がしてきて、俺はまた懸命に前に進んでいった。
白いものがどんどんと壁のように大きくなっていくのがわかった。確実に近づいてきている。顔に笑みがこぼれる。
轟音と、地面の動きに吐き気を覚えながら、それでも俺は一生懸命前に進んでいた。端にたどり着けば、何かがわかるかもしれない。
また風が荒れるような轟音がした。それでも向きは変わらず、俺はどんどんと、白い壁に向かって進み続けて行った。
最初は小さかった壁も、いつしか見上げても見上げてもその先を見ることはできないほどに大きくなっていた。まるでどこまでも無限に繋がっているかのようだった。
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