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早く端までたどり着きたい。そう思った俺は、立ち上がろうとして、足に力を入れてみた。しかし頑張ってはみたものの、やはり地面の動きは速かった。立ちあがった瞬間、よろめいて倒れてしまう。左右に端がないか、そう思い横移動をしてみたが、どこまでいってもむなしく、すぐにあきらめた。
なんとか、立ち上がりたい。自分の2本の足を信じて、動く地面に手を付きながら、もう一度えいっと力を入れてみた。
俺は立つことができた。
なんとか立ち上がることができて、俺の口から自然と「ああ」という安堵の声がもれた。
その勢いに乗って、俺はどんどんと前に進んで歩き続けた。小走りもした。頭がどんどんとまわってくるのがわかった。もうすぐ、端までたどり着けるだろうか。自然と笑みがこぼれた。あの白い壁が、自分にとっての唯一の希望のように思えた。あの壁の元までたどり着ければきっと何かが起こるだろうと。
また轟音がした。いつもよりも、鋭い音だった。
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