食堂は騒ぐ場所

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先生が来てから教室に響いていた歓声が消えた しかしそれも一瞬で 「カッコいい系だよね!」 「可愛い系だろ!」 「美人系を推す!」 「王道転校生か…!」 「この俺が、副会長イベを見逃しただと…!」 という声が教室を包み込んだ ほとんどのクラスメイトがまだ見たこともない転入生に夢を馳せている いつも思うけどこの学園って顔面至上主義だよね それに同性愛者の巣窟で稀に特殊な性癖持ちも現れる なのに国内最高峰の偏差値を誇る進学校なのだから 世の中分からないものだらけだよね 俺が言うのもなんだけれど 「この時期にって珍しいことだね」 後ろの席の空羅に話しかけた 「座るとしたら謙の隣の空席かな」 「そうかもしれないね」 俺らのクラスは35人で今6×6で机が置かれているため 一席だけ空席がある 現在の席はくじ引きで引かれ余った場所にその机が置かれ それが俺の隣の席 「厄介事は勘弁してほしいな」 「フラグってやつか?」 意地悪い顔を隠しもせずに言った那智 片腕は鈴也の頭の上におかれ顔面には似合わない丁寧な手つきで撫でている 俺も鈴也を撫でたかったが那智に手を払われてしまった ちなみに那智は俺の前の席で隣が鈴也 この席順はくじ引きなのだけれど人気メンバーで固まっているのをみると 若干の細工を疑うのも仕方がないだろう 「厄介事も君なら楽しんじゃいそうだけどね」 「お前は愉快犯気質なところがあるからな」 「そう?」 二人同時に頷かれた 二人が言うなら俺は愉快犯の気質があるのかな 「毬、入ってこい」 いつの間にかいつもの前口上は終わっていたらしく 転入生の紹介に移った まるで、愛しいものを呼ぶように甘ったるい声で呼んだのを誰も見逃さなかった
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