食堂は騒ぐ場所

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「俺は地雷毬だ!仲良くしような!」 教室のドアをやや力強く開け登場したのは 天然パーマなのかアフロのように盛られ目元が見えないほどにまで 長いまもりものような髪型 典型的なオタクのように見える 見た目の陰湿さとは真逆のハキハキとした声と粗雑な態度 それをあわせ持つ不思議な子 クラスメイトの反応は落胆と批判の声ばかり 加え、先生から名前で呼ばれていることの嫉妬などで ヤジまで飛び、教室に不協和音が広がる 空羅と那智ともに険悪感が見えた それに苦笑いしながら席から立ち上がり手を叩く パンパン 教室中に響き渡るように短く二回 注目を自らに引き付ける 「それぞれ、思うところはあると思うけどそれを本人にぶつけるのは お門違いだよ。 それに、皆にはそんな言葉で人を追い詰めるような人になってほしくないな」 若干、眉を下げ困り眉のようにする そうすると 「そうですよね!見た目で判断することは悪いことですもんね!」 「転校生と仲良くなれるの楽しみだな!」 すぐに皆手のひら返しをする 自分の魅力を理解し使えるようになったのはつい最近 まぁ、中学は共学だったからそんなことをしても つれるのは女子だけだったと思うけど そんな異常さが隠せていない教室で批判中も元気に騒いでいた転校生君を見る 彼は俺が庇ったと思ったのかこちらを見て 目元は見えないが口元は笑みを浮かべている とりあえず笑いかけ席につく 「毬の席は、さっき場を納めた謙の隣だ そいつの隣だけ空いているだろ」 薄々感づいていたが、転校生君の席は俺の隣となった 教室が騒がしくなり彼が通る道から足が出ていたが 見事に全部上から踏みつけていた 「おう!謙?だっけ!よろしくな!」 「うん。麗愁謙っていうよ。よろしくね毬くん」 俺ではなく、俺の斜め前、鈴也の方を見て口元が驚いたように開き閉じた ここから鈴也と転校生君に巻き込まれ非日常が始まるのを俺はまだ知らなかった
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