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実は俺達ってなっちゃんが歓声が煩わしいからと
あまり食堂を利用しないんだけど
高等部から入学してきたけんけんが食堂に初めて行ったとき
見たことがないくらい目を輝かせて感動していたから
食堂のメニューが変わる月の始めだけは行くようにしているんだ
それが習慣化され今ではけんけんがいなくても行くようになった
そのお陰で今日、食堂イベを誰にも不信感を与えることなく
傍観することが出来る
なんて運のいいことだろう
道中は歓声に混じる罵声を聞きながら、何気ない話を3人でしていた
一人仲間外れがいるって?
それは、なっちゃんです!!
なっちゃん転校生が苦手らしく転校生がグイグイいくと顔を背けちゃうんだよね
王道通りなっちゃんは僕たち以外とは全く喋らないから
話しかけられるとなつくと思ったんだけど
ほんとに妄想と現実は違うって思い知らされるよ
そうしていると食堂の扉前につく
今でこそ俺達は見慣れたものだけど自身の身長の2倍ほどで
高い壁が隔たっているようにさえ思うほどにデカイ扉に転校生は驚いている
そんなに大きい扉も、非力な生徒でさえ簡単に開けられるようにされているから
見た目だけに気をつかっていないことが伺える
「でっかいな!!!!」
「この扉の向こうに食堂があるんだけど、
ちょっと心の準備しておいた方がいいと思うよ」
優しいくぅちゃんが転校生に助言する
転校生は理解していなさそうだったがとりあえず頷いていた
それを見ながら俺は扉を開けた
「それじゃぁ、扉開けるよぉー!」
扉が開かれた瞬間、廊下とは段違いの黄色い歓声が体を包み込む
「鈴也様ー!今日もカッコいいです!」
「鈴也様ー!今日の夜のご予定は!?」
「抱かせろー!」
「上林様抱いてー!」
「久しぶりの生だわ、記念日に加えとこ」
「そういえば今日って月の始めじゃん!!!」
「あれ王道君だよね!?副会長イベ見逃した!」
「誰!?あの毬藻!?あのお三方が穢れるじゃない!」
「麗愁様をどこにやった!?毬藻風情が麗愁様の位置にいるんじゃないよ!」
「王道君に早くも会計堕ちたか…!」
そんな一言も聞き取れないような不協和音を奏でる声を
もろともせずはね除けるように転校生は喋る
「扉もそうだけど、食堂もすっげぇ広いんだな!!!!」
「そうだねぇ、500人は入れるように設計されているからねぇ~」
「それでも総勢1000人程度はいる生徒が入れないから
もう少し広くしてほしいけどね」
「確かにぃ~、席は早い者勝ちだから座れない子達もいるからねぇ。」
「確かに俺等の座る席なくないか!!!!」
しかし、それは俺達には活用されないんだ
なぜなら
「あ、あの!よければここの席使いませんか!
空席は無さそうなので!」
こうやって、親衛隊又はファンの子達が席を譲ってくれるから
「ありがとうねぇ~。」
「昼食食べた?大丈夫?」
「は、はい!僕達は中庭で食べるので!」
「使ってください!」
「ごめんね。ありがとう」
親衛隊は害すべきものという認識が学園内で
根強く邪険にされやすい中気を使い優しくしてくれるからくぅちゃんは人気なのだろう
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