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勇者が死んだ。
魔王討伐に向かっていた勇者が死んだ。
死因は痴情のもつれだった。
勇者には恋人がたくさんいた。彼女たちに殺されたのだ。勇者パーティーには勇者を諌める人は1人もいなかった。なぜなら勇者パーティーのメンバーは全員勇者の恋人だったからだ。勇者を殺したのも彼女たちだった。
人間の国の人々は焦った。
魔王の魔の手から守ってくれるはずの勇者が死んだからだ。
各国は新たな勇者を探した。勇者には体に星形の痣が現れる。その痣を持った者を探したが見つからなかった。
対魔王連合国はそれぞれが新たな勇者をたてた。なぜなら各国に勇者の子供がたくさんいたからだ。各国は言い争った。
新たな勇者は我が国の勇者だと。
彼らが勇者の座を取り合っているうちに魔王はどんどん侵略を進めていった。
人間たちが手を合わせたのは大陸の8割が侵略されたあとだった。
人間たちは考えた。勇者の子供たちに力を合わさせようと。
しかし、どこを探しても勇者の子供たちはいなくなっていた。
最後の一国に逃げた各国の王たちが最期に見たのは自分たちが勇者に仕立てあげようとしていた勇者の子供たちとそれを従える星形の痣が顔にある魔族の姿だった。
人間の国が全て滅びてから世界は魔王の支配下に落ちた。
しかし、人間が滅んだわけではなかった。
魔王の支配は人間の国だった頃よりも良かったのだ。
さて、なぜ勇者の子供たちが魔王軍にいたかというと全ては魔王の策略だった。
勇者の子供たちは勇者や国の上層部の汚さを見て育ってきた。そんな彼らを魔王がスカウトしていたのだ。彼らはすぐにそれに乗った。
最大の理由は勇者は最初から魔王の手の上だったということだった。勇者の最初の子供を生んだのが魔王だった。勇者は若い頃から性に奔放ですぐに女性に手を出していた。魔王はそんな彼に他の人とは子供が出来ない魔法をかけて自分は変装して勇者と何度も子供を作ろうとしていた。勇者は相手が魔王だとは知らなかった。
魔王は子供が出来るとすぐに魔法を解いて勇者の子供たちを増やしていった。そんな子供たちのそばには魔王の手の者がいたのだ。
魔王は自分の子供がちょうど良い年齢に育つと勇者を破滅させた。嫉妬に狂っていた勇者パーティーのメンバーを魔王が操るのは簡単だった。
勇者が死ぬと都合の良いことに自分の子供に勇者の痣が現れた。
それからは簡単だった。
勇者の子供たちと一部の内通者を動かして、各国を争わせることに成功した。
そして、そのまま各国は滅んでいったのだ。
魔王は恐ろしい頭脳を持っていたが人間の国が滅んでからは自分の息子に王座を譲った。
その後、魔王の国は長い歴史を刻んでいく。
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