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譲れない
じっとりと汗ばむ真夏の昼下がり。エアコンが故障した灼熱のリビングで、高校生の兄妹が睨み合っていた。
二人の目の前には、国民的飲料水の『ガルピス』。いや、正しくは『ガルピス』の原液。水で薄めて飲むものなのだが、残り一杯分しかないようだ。
「遥は麦茶でも飲んでろ」
「なんでよ。智樹が麦茶を飲めばいいじゃない」
仲良く半分こ……なんて選択肢は無い。お互いに一歩も引かず、一触即発の状況に緊張が走る。
こうして、どうでもいい戦いの火蓋が切って落とされた。
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