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 思った以上に喉が渇いていたみたいで、ごくごくと立て続けにスポーツドリンクを飲み下す。  冷たくてほんのり甘いスポーツドリンクが、熱い体を冷やしてくれて、ちょっとだけ楽になった。 「少し落ち着きました。いろいろありがとうございます」 「礼には及ばぬぞ。それより、貧血なら横になって足を少し高くした方が楽になる筈だが」 「いえ、このまま座ってれば、その内良くなりますから。お兄さん、そっち座って下さい」  正直体を起こしているのはちょっと辛かったけど、こんな所で横になるのも恥ずかしいし、助けてくれたお兄さんを立たせてベンチを占領するのも悪い気がして、私は敢えてそう言った。  お兄さんはベンチの反対側の端に腰掛けると、缶コーヒーを傾けながら訊いてくる。 「連れはいないのか? 必要があれば迎えを呼んだ方がいいと思うが」 「あ、ホントに大丈夫ですから。こんなことになるなら友達に一緒に来てもらえば良かったんですけど、ちょっと恥ずかしくて……」 「恥ずかしい? 何がだ?」  お兄さんはほんの少しだけ怪訝そうに眉を寄せて、そう訊き返してきた。  答えるのは少し恥ずかしかったけど、多分もう二度と会うこともない人だし、どうしても隠したい秘密という訳でもないし、話してもいいかなと思う。  別に面白い話でもないけど、多少の暇潰しくらいにはなるだろう。
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