5人が本棚に入れています
本棚に追加
究極の金縛り
その重い瞼の鍵蓋が解かれると、広石穂里恵の両眼は陰なる空間で視界を得た。
暗闇ではあるが、どこか澄んだ黒の昭かり…?
とは言え…、そこはカンペキに透徹を纏った漆黒の雅に纏われていた。
だが、彼女の両眼が本来映すべきは、暗がりの中で夜の静寂を醸す自室の天井であるはずであった。
なのに、そんな日常たる証は残念ながら、”そこ”から排除されていた。
そして、まずもっての結論はすぐに出た。
”えっ!…金縛り⁉”
この視界の持ち主である14歳の少女は仰向けの体勢のまま、すでにただならぬ奇異感を誘知していた。
***
さらに穂里絵は、もの凄いスピードでわが身の置かれた今現在を推し量るのであったが…。
”違うって‼これ…、フツーの金縛りじゃないよーー‼”
中学3年の秋を迎えていたごく平凡な少女は、心の中でド絶叫した。
押し固まってビクとも動かないカラダ、閉じれない瞼のままで…。
最初のコメントを投稿しよう!