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 いつものように土砂降りの雨の中、彼はカードを出して≪電波塔≫へ入る。  入ってすぐのエレヴェータで、スタジオのある階まで上がる。  その数字は56と教えられていた。  ナンバーキーでそれを押す。  ≪電波塔≫が何階まであるのか、少なくとも彼の周りに知っているものはいない。  ただ、自分に必要最小限の情報だけが与えられる。  ここはそういう街だ。  それに慣れることのできないものは皆、衰弱してゆく。  そしていつか、たくさんの白いバラに囲まれ、眠りにつく。
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