17人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
いつものように土砂降りの雨の中、彼はカードを出して≪電波塔≫へ入る。
入ってすぐのエレヴェータで、スタジオのある階まで上がる。
その数字は56と教えられていた。
ナンバーキーでそれを押す。
≪電波塔≫が何階まであるのか、少なくとも彼の周りに知っているものはいない。
ただ、自分に必要最小限の情報だけが与えられる。
ここはそういう街だ。
それに慣れることのできないものは皆、衰弱してゆく。
そしていつか、たくさんの白いバラに囲まれ、眠りにつく。
最初のコメントを投稿しよう!