Distance.XX

14/16
270人が本棚に入れています
本棚に追加
/428ページ
「あ、待って」 急いで追いかけて、山下くんの隣に並ぶ。 私たちに注意をしてきた体育の先生は、裏門の前で他の生徒にも何か注意をしていて、その度に生徒にうざそうな顔をされていた。 その横を山下くんと通り過ぎて、駅へと続く道を並んで歩く。 私たちの周りを、同じ制服の生徒たちが同じように駅に向かって歩いていく。 友達同士で笑いながら歩いている子達もいれば、彼氏と彼女なのかふたりで仲良さそうに帰っている男子と女子もいる。 少し前に手を繋いで歩いているふたりがいて、知らない子達だけどちょっと羨ましいなと思った。 そのふたりの背中をぼんやり見つめながら歩いていると、ふと横顔に視線を感じた。 振り向くと、山下くんが不審そうな目で私のことを見下ろしている。 「どうした?何か気になることでもあんの?」 山下くんに訊ねられて、私はよっぽど前のふたりを羨望の眼差しで見てたんだなと恥ずかしくなった。
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!