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「けど、どうして入学式早々初対面の山下に?あいつ、ちょっと顔はいいけど中学のときから無愛想で、女子がよりつくタイプじゃなかったよ」
実唯が私が伏せる机に肘を載せて頬杖をつく。
それから私に顔を近づけると、小声で付け足した。
「それにあいつ、中学のときから付き合ってる彼女いるよ。その人、この学校の2年生」
「そうなんだ」
実唯の言葉が、さっきよりも大きな衝撃を伴ってぐさりと胸に突き刺さる。
机に伏せたまま視線だけあげると、実唯が私を憐れむような同情の眼差しを向けた。
「まぁあんまり落ち込まず、他にいいやつ探しなよ。まだまだこれからだって」
実唯がよしよしと私の頭を撫でる。
「なのは。あんた地味だし特別美人じゃないけど、よく見たらそんなに悪くないよ」
よく見たらそんなに悪くないって……
実唯が褒めてるんだか貶してるんだかよくわからない言葉で私を慰める。
「頑張れば高校3年間の間にひとりくらい彼氏できるって」
3年の間に頑張ればひとりくらい……って。
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