Distance.XX

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「うぅん、別に」 顔を赤くして首を横に振ると、なぜか山下くんに冷たい視線を向けられた。 「何?思ったことあったらちゃんと言えってさっき言ったと思うんだけど」 怒ってるみたいなその声に、どうしようかと迷う。 本当に、思ったこと言ってもいいのかな…… ちらっと横目で山下くんを見ると、彼はやっぱり怒ったような冷たい目で私を見下ろしていた。 「あの、今から思ったこと言っても怒らない?」 「何?」 返ってきた山下くんの声はやっぱり怒っているみたいだったけど、思いきって口に出してみる。 「あの、ね。繋いでもいい?手」 恐る恐る見上げながら山下くんの左手の指先をそっとつかむと、彼の肩が珍しくびくりと震えた。 「こんな、人いっぱいいる道端で?」 私から顔をそらした山下くんが、ほんの少し耳朶を朱に染めてそんなことを言うからなんだかおかしくなった。 山下くんなんて、さっき人がたくさん行き交うとこで普通にキスしたくせに。 どうして手を繋ぐことをこんなに照れてるの。
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