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月夜?
「ちょ……つき…………待っ!! 寝かせないって、明日学校!!」
明日は月曜日。
学校がある。
俺が反論する声は、だけど最後はすすり泣きになるだろう。
月夜になら、どこで抱かれてもいいと思ってしまうから困りものだ。
「これからは藤堂さんには何も言わせない。もし、亜瑠兎が不安になるのなら、何度だって愛を示そう。俺の可愛い亜瑠兎。愛しているよ」
「つきや!!」
月夜……。
「月夜、俺。いい秘書になれるようにがんばるから……。だから……あなたの隣にいさせて……」
どうか、
どうか。
この手を離さないで。
わがまま。
俺は途切れ途切れに話す。
たぶん、俺と月夜の相愛数は俺の方がずっと上だ。
ずっとずっと月夜を想っている。
「亜瑠兎、君って人は……」
わがままを言った途端だった。
月夜はふいにがっくりと頭を下げ、それっきり動かなくなってしまった。
「月夜?」
俺、言っちゃいけないことを言ってしまったんだろうか。
不安になって尋ねてみると、月夜は俺の肩口に顔をうずめ、苦しんでいるようだ。
月夜は、「う~ん」と唸っている。
「月夜? 俺、何か気に障ることでも言った?」
どうしよう。
俺、何かいけないことを言ったのかな。
「もういい。容赦しない。君が言うとおり、明日は学校もあるし、少し我慢しようと思ったのに……。俺をここまで追い詰めたのは君だ。今日はうんと泣かせるかもしれないけれど、覚悟してね」
俺の肩口から顔が上がる。
満面の笑みを浮かべてそう言った。
「――え」
月夜の両手はもちろん俺の腰をしっかり掴んでいる。
逃げられない。
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