真夜中、助手席で

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 俺の父が亡くなったのは二年前だ。胃癌だった。気づいた時には手遅れで、もうあちこち転移していてどうしようもなかった。  最期はあっという間に訪れた。心の準備も出来ないまま、流されるように父の旅立ちの準備をし、なにをしているのか理解する前に見送りが終わってしまっていた。母も似たようなものだったと思う。何もかもが終わって、親類も全員帰ったあと、やたら静かになった実家でやっと実感した。線香炊いて酒呑みながら、二人で一晩中泣いた。それでやっと、受け入れた。  明日は父の三回忌だ。あの人の愛車は、彼が倒れてから、整備はしているが誰も乗ってない。 「…どれが気がかりだったんだろうなぁ」  ともかく、明日の晩にでも母をドライブに誘ってみようと思う。
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