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2日目の日曜日
そうして、翌日曜日の朝。
私は、少しだけ早起きをした。朝ごはんくらいは作りたくて。パントリーに食パンがあることは、昨日、夕飯を作る時に気が付いた。でも、涼さんが休日に何時に起きるのか分からない。だから、私は、サンドイッチを作ることにした。冷めて困ることもないし、何なら、昼に食べても大丈夫なように。
冷蔵庫からレタスとトマトとハムとチーズを取り出す。ついでに卵も茹でる。一人暮らしだった涼さんの冷蔵庫に入ってる食材なんだから、嫌いなものはないはず。私は、5枚切りの食パンをまな板に置くと、パン切り包丁を取り出して、スライスする。ぐるりとパンを回しながら包丁を入れて2枚にすると、その断面にバターを塗っていく。
出来上がったサンドイッチをラップに包んで馴染ませると、私は、その間に洗濯をしてしまおうと思った。ところが……
「洗濯機はどこかしら?」
昨日、室内を案内してもらったけど、洗濯機を見た覚えがない。普通は、脱衣所に付いてたりするものだけど、どちらの脱衣所にも洗濯機はなかったはず。別で家事室みたいなのがあるのかな。でも、涼さんが寝てる間にこっそり家捜しみたいなことしたくないし。
私が困っていると、涼さんの寝室のドアが開いた。
「おはようございます」
私は、すかさず挨拶をする。
「おはよう」
涼さんが、少し寝ぼけたかすれ声で答える。
ふふっ
かわいい。
寝起きの涼さんは、昨日の完璧な涼さんとは違い、髪は跳ねてるし、うっすらと髭も生えてる。何より、目が半分しか開いてない。そんな寝ぼけ眼の無防備な姿は、昨日より幼くかわいく見える。
「ごめんなさい。起こしちゃいましたか?」
朝からパタパタと動き回ってたから。
「いや、起きようと思ってたから、大丈夫だ。それより、莉緒はいつもこんな早起きなのか?」
早起きって……
「ふふふっ」
思わず、笑みがこぼれる。
「普通、朝、8時を早起きとは言いませんよ」
「そうか」
涼さんは、バツが悪そうに頭をかいた。
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