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小野の友人から見た小野兄妹。【その1】
「ただいま~す」
夕方五時が過ぎた頃、友人小野の家で一緒にゲームをやっていると、玄関のほうから女の子の声がした。遊びに行っていた小野の妹が家に帰ってきたのだ。
「兄さま」
ノックとほぼ同時に部屋のドアが開けられる。ツインテールの女の子がオレたちがいる部屋にやって来た。
「なんだ妹?」
「あたしが買ってきた『こどもカクテル』知りません?」
室内に置かれた小さな折り畳み式テーブルの上には、小野が冷蔵庫の中から出してきたジュースやスナック菓子が散乱していた。
「小野、これじゃない?」
「あ、これか?」
その中にあった。さっき小野が飲んでたやつだ。小野、やっちまったな……
「お前のだったんだ? わりぃ、ちょっと飲んじゃった。でもまだ結構残ってるし」
「……」
言葉を失う妹に、小野は軽い調子で「ほーい」とそれを渡した。
「最悪っ」と妹がかわいい顔を険悪な表情に歪める。
「楽しみにしてたのにっっ……」と憎しみを込めて悪態を吐く。
「しょうがねーだろ、もう飲んじゃったんだから。これからは名前でも書いとけ」
「……兄さまのよだれ付き」
まるで汚物を見るような目で口を付けられたジュースを見る妹。
「なんだよオレの口はそんなにきたねぇのかよ」と文句を言う小野。
「……兄さまのよだれ付き……兄さまのよだれ付き……ぶつぶつ」
そうぶつぶつ言いながら去って行く小野の妹。妹こわいわ!?
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