6時限目【天使部の初仕事】

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6時限目【天使部の初仕事】

   部活開設から三日。  依頼。  ゼロ。  そんな事はお構いなしで部室 (俺の部屋)に入り浸る生徒達。 「う〜また負けたの〜! 勝てないから面白くないの〜!」ぐがが!  暇を持て余した天使達の遊び、悪魔抜き(ババ抜き)、  ガブリエル2世は連敗を積み重ねていた。 「ガブリエルちゃんはすぐに顔に出るから分かりやすいんですが?」  クロエルは頬を染めてクスクスと笑う。 「そうだね〜、目がキョロキョロしてて可愛くて、何処にババがあるか〜すぐに分かっちゃうね〜」  モコエルはそう言ってガブリエル2世の頭を撫でる。ガブリエルは立派な頬を染め膨らんでみせた。  モコエル。  週に2回は塾で参加出来ないが、仲良しグループのため部活に参加している。  ゆっくりとした口調が特徴的な女の子だ。薄いピンク髪は肩の辺りまで伸びていて先はふんわりしていて、まぁ、見た目通りの天使である。 「むぅ……悔しいの〜っ!」ジタバタ! 「ガブリエルちゃん? 約束通り、頬っぺプニプニしたいのですが? はぁはぁ!」プルプル!  クロエルの指先が小刻みに震え、ビクついたガブリエルに迫る! 「いやぁ〜なの〜!? むにゅがぁ〜っ…!」  ファァァァァァ〜(コーラス部一同) 「それはそうと、全然依頼が来ないっすね」  マールは少しばかり不満気に言って窓の外を見る。 「そうだね〜、もう少し宣伝した方がいいのかな〜?」 「でも、どうやって?」  クロエルはガブ頬っぺをプニプニしながら首を傾げジト目を瞬かせた。  その時だった。  部室、——俺の部屋のドアが開いた。 「あの〜、お願いしたい事があるんだけど」  ……今にも消えそうな声が聞こえてくる。この声は確か、 「あ、依頼、来たっす!」  やってきたのは同じクラスのシャムシエルだ。  栗色のショートヘアの、華奢な身体がコンプレックスなシャムシエルには悩みがある。  ——胸が小さい事だ。  いつもおっ○いを大きくしたいと口癖のように言っているのをクラスの皆んなが知っている。誰もが依頼はその件だと確信しただろう。  そして、  解決策がない事も同時に確信するのであった。  可哀想なので、とりあえず聞いてみる事にした。 「あのね、私ね……えっと……そのぉ〜」  シャムシエルは少し言いづらそうに口ごもっている。この場の全員が思ったことだろう。  分かってるから早く言いなよって……天使部のメンバーの表情を見れば一目瞭然だ。 「えっとね、お家の鍵を無くしちゃって……良かったら一緒に探して欲しいなって思って……駄目かな? 人助けをしてるって掲示板で見て来たんだけど」  違ったぁぁーー!! 「あわわわ、い、いいっすよ! 困った人を助けるのが天使部っす! 皆んなで探せばきっと見つかるっす!」  こうして控えめクラスメイト、シャムシエルの家鍵を探す事になった天使部一行だが、 「クッソォ……何で俺まで……」ぴゅーっ  しっかり参加させられた俺。  一行は手分けして捜索するとこにしたのだった。  グラウンドを捜索中の俺は陸上部のカマエルに鍵を見なかったかと問いかけた。 「鍵? 見てないぞ? でも走ってて見つけたらすぐに報告するからな! バビューン!!」  カマエルはそう言って先輩達の元へ走っていく。  カマエル。  さみしがり屋で誰かに構って欲しいカマエル。褐色の肌に銀色のショートヘアの元気な女の子だ。何気にいい奴で運動が得意で、その明るさはマールに引けをとらない。  他のメンバーはちゃんと捜しているのか、少し様子を見に行ってやるか。一応、顧問だし。  俺は剣道部の方へ走って行ったマールを追ってみることにした。  剣道部にはアルミサエルとアラエルがいるはずだ。マールは2人に鍵のことを聞いてみるつもりなのだろうな。どれどれ、天使部部長のお手並拝見。  ——
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