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コウモリのような羽を持ち、ツノとしっぽが生えていて、三叉のヤリを携えて…。
お話しに出てくる悪魔なんて、全然可愛らしい。
いつからそこに居たのだろうか?
黒褐色の体は艷やかな光沢を持ち、蛍光灯の明かりを妖しく反射させる、その瞳からは表情が読み取れず、何を考えているのか、何処を見ているのかすら分からない。
手足には鋭い鉤爪をもち、二の腕?の辺りには細いトゲが何本も生えている、薄くしなやかな羽は、見ようによっては美しくも見えるが、大抵の人間にとっては嫌悪、あるいは恐怖そのものであろう。
早苗が見動きひとつ出来ないほど驚いていることに気付いたのか、ゆっくりと動きだきし、ガスコンロに近づいた。
「だ、駄目。」
コンロの上には夫の為に作ったグリーンカレーがある、もしあれに触れられたら…。
思わず、声を出してしまった早苗をあざ笑うように、悪魔はピクピクと触覚を動かして早苗の方に体を向けた。
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