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彼女
その言葉の意味を僕はすぐに知った。彼女と永峰がこのときすでに交際を始めていたのだ。試合終わりの部室で部員たちが話していたを聞いてしまったのだ。どうやら冬休みが始まってすぐのことだったらしい。本人たちは公言していなかったようだが、すでに周知の事実だった。
僕はとっくに負けていたのだ。
それから彼女たちがどうなったのかを僕は知らない。あえて情報をシャットダウンした。部にいる限りは少しくらい耳にすることもあったけど、全力で無視した。
僕は負けたのだから、邪魔をしてはいけない。
「私がいるからって理由で続けられる方が嫌かな」
彼女はきっと見抜いていたのだ。僕がずっと彼女に執着していたことを。ずっと僕に執着されていたことを――もしくは、恋心を。
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