溺甘王子の独占愛。

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溺甘王子の独占愛。

小さい頃、近所のお屋敷にこっそり忍び込んで、そこに住んでる子とよく一緒に遊んだ。 親の目を盗んで、ひっそり、こっそり。 『ちかちゃん!』 『なぁに? どーしたの?』 『あのね、だーいすき!』 『ほんと? ちかもだよ』 『ふふ、嬉しいなぁ』 『じゃあさ、大きくなってもずっと一緒にいてくれる?』 『うん、いいよ! ちかちゃんのこと大好きだから、ずっと一緒にいたい!』 『約束ね』 『うん!! 約束!』 ──ジリリリリリリ 「う、うーん……っ」 うる、さい。 頭元に置いたはずのスマホを手で探り、アラームモードを解除する。 普段は二度寝三度寝なんて当たり前だけど、今日だけはちょっぴり特別な日だから。 起きなきゃ。 「うーん……!」 ベッドの上で伸びをする。 よく眠れたし、頭も冴えてて体調もバッチリだ。 布団から出て、腰まで伸びたアッシュブラウンの髪の毛をブラシでとかす。 毛先だけゆるく巻かれたようになってるのはくせ毛だから。 それをシュシュでひとつに結んで、ポニーテールにした。 鏡の中のわたしはパッとしない顔立ちで、低くも高くもない身長。
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