0人が本棚に入れています
本棚に追加
自室に戻って、ベッドに飛びこんだ。先ほどの埃とカビの臭いを消したくて、枕に顔を埋めて思いっきり息を吸い込む。
「っけほっ!けほっ!」
今度は埃とダニだった。僕は本当に洗面所に駆けこんで、そして吐いた。連日何も食べてなくて、ただの胃液しか出てこなかった。それでも、胸のつかえがとれたようですっきりする。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
未だムカつく胸を引き摺って、今度はベッドにあおむけにダイブする。脂で汚れた天井が見える。それが人の顔のようにも見えて、僕はきつく目を閉じた。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
遠くで悲鳴が聞こえる。
何の演目をやっているのだろうか。
目を開ける。
また人の顔と目が合った。
今度は目を逸らさない。瞑らない。
このくらい自信を持って観客と接していたなら。
また目を閉じる。
今度は銃声が聞こえた。
何の演目をやっているのだろうか。
それは主役が幸せになれるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!