幽霊

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幽霊

 記念すべき第1回目は「幽霊」について語ります。を語る上で、幽霊の存在はハズせません。100人に聞いたら90人くらいが"怖い"と言うのではないでしょうか。怖くないと言う人は、その存在を信じていない人か、はたまた...。  幽霊の存在は、私達の生活にある種定着していると言っていいと思います。毎年のように幽霊を題材としたホラー映画が公開されていますし、夏になると「本当にあった怖い話」みたいな特番が組まれたりしますよね。そもそも、日本には死者の霊が現世に帰ってくるという「お盆」がありますし、言わずと知れた夏の風物詩になっています。幽霊の存在を信じている・信じていないを問わず、お盆の時期にはご先祖様のお墓に手を合わせる人は多いでしょう。では、なぜここまで「幽霊」という存在が浸透しているのでしょうか。  その答えは単純で、幽霊には「歴史」があるからです。  日本最古の歴史書と云われている「古事記」には、死者の国である「黄泉」の存在が既に書かれています。この「古事記」が書かれたのは今から1300年も前の事ですから、その頃にはもう「幽霊」の存在が信じられていたと言えば、それが現代に生きる私達の文化に定着していることも、不思議ではないでしょう。  ではここでもう一つ、問題提起します。なぜ、幽霊はとして扱われているのでしょうか。  少し考えてみて下さい。もし、あなたの大切な人が既に亡くなっていたとしても、その方が「幽霊」として生前と同じ姿で、同じ性格で現れて話しかけてくれたとしたら、あなたは奇妙には思っても怖いとは感じないはずです。そういう「幽霊」だっていていいはずです。ですが「幽霊」と聞くと、人はを連想します。白い着物を着ていて、半透明で、足は無く、髪はボサボサで...。何故か? これもまた、幽霊の歴史が関係しています。  日本人がイメージするこのジャパンナイズ「幽霊」は、江戸時代の画家達が描いた「幽霊絵画」が元になったと言われています。調べて見ると、確かに上記に挙げた「幽霊」の特徴が揃ったものが描かれています。この絵を初めに描いた方は、何をモチーフにしたのでしょうか? もしこの方がまだ「幽霊」として存在するなら、話を聞いてみたいですね。江戸っ子言葉を勉強しておきます。  これらの絵のインパクトも()ることながら、付随するストーリーも恐ろしいもので、有名なのは「四谷怪談のお岩さん」や「番町皿屋敷のお菊さん」でしょうか。どちらも非業の死を遂げた女性が、霊となって現れるというお話です。詳細を説明すると長くなりそうなので、割愛します。ご自分で調べてみるのも、また一興...。  ともかく、このようなとそれを元にしたがコラボレーションした結果、「幽霊」=「怖いもの」というイメージが定着したのですね。  また、「幽霊」は死者の魂であり「死」を連想させるものです。生物にとって「死」は最も恐怖し避けるべきものですが、「幽霊」はその「死」が形となって現れたものでもありますので、「幽霊」に「死」を感じ恐怖するのは生物的にも不思議ではないでしょう。  では、この「幽霊」という存在はものなのでしょうか?  私は、いてもおかしくはないと考えています。とは言っても、私自身「幽霊」を見たことはありませんし、霊的な現象に遭遇したこともありません。それでも、「幽霊」に対し否定的ではありません。皆さんはどうお考えでしょうか? 目に見えないものを信じてもしょうがないって? それもまた一つの真理でしょう。  「幽霊」が存在する/しない論に決着をつけることは、まだできないと私は思います。肯定する根拠も、否定する根拠も未確定のものが多過ぎるからです。そこで、「幽霊が実在するか」ではなく「幽霊の正体は何なのか」についての考えを述べていきたいと思います(自分で話を振っておきながら...)。 ①人間の魂エネルギー説  「幽霊」は人間が持つ魂のエネルギーが、物体や人、土地にとり憑いて何らかの影響を及ぼすものという説です。「幽霊」に対する一般的かつ普遍的な説で、皆さんが考える「幽霊」はこの事でしょう。逆にこれ以外の説があるのかと思われるかもしれません。 ②平行世界(パラレルワールド)の住民説  「幽霊」は私達が生活する世界とは異なる「平行世界」の住民の姿や影が、何らかの影響で一時的に見える現象である、という説です。はい、早速ぶっ飛んだ説が出ました。そもそも平行世界(パラレルワールド)とは何ぞやって話になりますよね。それはおいおい語るとして、要は「本来見えないはずの異世界が見えちゃった」ものが「幽霊」という訳ですね。「幽霊」はデジモンだった? ③土地の記憶説  「幽霊」とは、その土地や空間がレコードのように記憶した過去の出来事が再生されたもの、という説です。知性を持つ生物は過去の出来事を「記憶」して思い出す事が出来ますが、土地や空間も同じように過去に起こったことを「記憶」していて、それが「再生」されることで見えた人影を「幽霊」と認識したという事なんです。土地の記憶と言うより、地球の記憶でしょうか。できるなら、ジュラ紀とかを思い出して見せて欲しいですね。もう忘れてるか。 ④イメージがそのまま「幽霊」になった説  この説は、「幽霊」というものの存在があってからそのイメージが出来たのではなく、「幽霊」のイメージが先にあって、それが現実となったのではないかというものです。鶏が先か、卵が先か(最近決着がついたようです)みたいな話ですが、この世界は私達の認識によって成り立っているので、存在→認識という一方通行ではなく存在↔認識という関係が成り立つと思うんですね。江戸時代の画家達が「幽霊」に形を与え見える化した事によって、「幽霊」が実在するようになったのかも知れません。  少し考えるだけでも色々と思考が巡っていくのですが、我ながらどれも現実的ではないですね。もしリアルの友人がこんな事を大真面目に語ってきたら、頭の病院を紹介すると思います。  ですが、この世はまだ分からない事だらけで、「幽霊」も長い歴史を持ちながらまだまだ解明されていない「謎」の一つです。故に、考える余地も多くあるし、好奇心を(くすぐ)られるのです。実在するかどうか分からないから、考察するのが楽しいのです。解明された「謎」に、面白さはありません。埃かぶっていた宝の地図も、確かめたのなら伝説じゃないのです。  いかがだったでしょうか? 今後もこんな感じで更新していきたいと思ってます。もし話題に取り上げて欲しい題材などあれば、教えていただけたら幸甚です。  それでは、今回はこの辺で。また次回お会いしましょう。  どうか、好奇心に殺されませんよう...。  
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