第2話 黒神のラーメン 第2節

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 しばらく、人の寿命について思案をしていると、耳に人のざわめきが届く。  ふと、目を上げると、50mほど先に人が集まっているのが見える。人混みの先には白い大きい紙が貼られ、遠目からでもクラス分けの表だとわかる。  同じ中学の友達がいる子達の塊を避け、紙の前に出る。引っ越してきた身には、辛い立場である。  見慣れない名字の中、いくつかある「渡辺」から栞を探す。クラスは、1年4組。出席番号を確認し、教室に向かう。  教室のあるクラス棟は、最近きれいにされたらしく、3階建てでその白さを誇っていた。  クラス棟に向かう途中、いくつかの部活動からお誘いを受けたが、適当にいなしながら、下駄箱に向かう。  ローファーを靴箱にしまい、リュックから学校指定の赤いスリッパを取り出す。1年生は1階なので、下駄箱を抜け右に曲がる。  多くの人は、まだ外にいるのだろう。静かながらも、どこかピリリとした廊下を通り、教室をちらりと見ながら、奥へとすすんで行く。
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