第1話 一枚のトースト

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第1話 一枚のトースト

「青春」  この言葉が、昔から苦手なのである。  いや、確かに青春は素晴らしいものだ。汗ほとばしる努力、色鮮やかな恋愛、仲間同士の厚い絆。これはたしかに素晴らしいものである。  だが、あまりに大人からチヤホヤとされ過ぎてはいないだろうか。第一、青春って青い春って書くわけで、高校生にもなれば、春というより夏ではないのか。それにも関わらず、大学生にもなって、青春を謳歌や、いい大人が第2の青春を、などというわけだ。しかも、大人の価値付けに基づいてというオプション付き。  「私はここに、若者の青春大人不可侵条約を宣言する。」  夢の中で、ちょび髭に燕尾服の私が宣言する。
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