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「ジリリリリリリリ」
けたたましい爆音で、ちょび髭がどこかへ行ってしまい、夢の世界を追い出される。条約は否決らしい。こうなったら、徹底的に抵抗するしかない。立てこもりだ。と言わんばかりに布団に籠もる。
「いつまで、目覚まし掛けっぱなしなの。いい加減起きないと入学式遅刻するわよ。」
一階から母さんの声が響いた。
寝ぼけたまま、机の上の目覚まし時計を止め、ベッドの近くのカーテンを開ける。そして、細めた目でフレームの薄いメガネを探す。
昨日寝る前に本を読み、机の上に置いたはずである。
ない。
目を開いたり、細めたりしながら、眼鏡を踏まないように探す。こういうときは大体、床に転がっているのが定石。
ようやく、机の下に転がっていた眼鏡を見つけ、クリアな視界で一階の洗面台を目指す。
部屋のドアを開けると、小気味よい等間隔の包丁の音が聞こえてくる。ハーメルンの笛吹きのごとく、音につられるようにリビングのドアを開く。
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