第2話 黒神のラーメン 第1節

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 というのも、私が東京から岐阜県に、引っ越して来たからである。父の愛知への転勤により、家族で移動することになったのだが、母の実家が近いという理由で、岐阜に住居を構えたのだ。 「あんたは、父さんと似ておっとりしてるから、母さんは少し心配だわ。」 「大丈夫大丈夫。」 「そういうところよ。似てるの。」 「そんなことより、入学式終わったらどうするの?お昼。」 「もう昼ごはんのこと考えてるの。さっき朝ご飯食べたばかりじゃない。」 「それはそれ。これはこれなの。で、どうするの。」 「そうね。黒神はどう?」 「黒神って、ラーメンの?でも、あの時間人多いんじゃない?」 「その時はまた考えましょう。もしかしたら、友達と行くことになるかもしれないし。」 「それもそうね。」 「お昼の話はいいけど、外しっかり見ておきなさいよ。明日から通う道なんだから。」 「はーい。」  窓に目をやり、時速70kmで流れゆく景色を追いかける。
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