お通し──「ナルト」

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お通し──「ナルト」

中国の青海省──トゥ族自治県の遺跡で最古のものと思われる「麺」が見つかった。  それは地下3メートルほどの場所の裏返しになっていた土製のどんぶりから発見された。  どうやらその土地の集落は四千年前に地震で壊滅したらしい。  発見された最古の麺は黄色く細長く、中国の代表的な麺であるラーメンに酷似していた。  調査の結果、この最古の麺は小麦からできているのではなく、米・キビ・アワといった雑穀からできていることがわかった。  このことから古代中国でこの時期にはすでに農耕技術の基礎が確立されていたことが証明されたのである。 「おや……? この青いのは何だ?」  考古学者はどんぶりの底にカラカラにこびりついたものを見て目を細めた。  ──それは青カビが生えて変色した親指大のものだった。 「──ふむ? 何かの肉だろうか……」  もし、彼が日本人だったら気づいたかもしれない。……それが、「ナルト」と呼ばれる練り物だということを。  ただ、残念ながら「ナルト」は元々蕎麦にのせていたものを「支那ソバ」にのせた日本発祥の文化。  この四千年前の遺跡で見つかったこれが、今から()()()() の平安時代を発祥とする日本独自の練り物である、と中国人の考古学者が気づくことはなかったのである。
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