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プロローグ
「んんん、どうしたものか」
閑静な住宅街にひっそりと建つ滝見神楽神社に祀られる若き神様は、悩んでいた。
「人間なんぞにこの私がどうしてこんな…これはどうにもならないし、そもそも何もしてはならないのだ。さりとて、このまま何もしないのも寝覚めが悪いというか…」
人間嫌いの神様は考える。神は人智を超えた力を持っており、道理に合わないことや物理法則を無視した現象を人間界にいくらでも起こすことができる。しかしそんなことをすれば人間界は混乱を極めるため、干渉することは許されない。
しかし。当人たちが気付かなければ、人智を超えた何かの存在など認識することも当然ない。その範囲で、ささやかな偶然が起こったら、彼女たちは。
「わずかなきっかけを、与えるだけ、なら…」
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