二人の決意

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二人の決意

 土曜日、しとしとと重たい雨の降る午後。大きな会場で、学校の人間を含めて太陽の告別式が行われた。くしくもこの日は太陽の誕生日であり、二人がお祝いをするはずだった日。両親のあいさつでも今日が誕生日であることに触れられると、そこでそれを知った参列者が改めて若すぎる死に涙する場面もあった。  太陽はスポーツ、勉学ともに優秀で、明るく素直な性格から友達は多かった。生徒だけでなく、教師や生徒の親からの評判も良かったため、彼の訃報は学校全体に暗い影を落としてしまったといえるほどである。その人望の厚さが告別式の参列者の多さに現れており、会場は人のすすり泣く声がいつまでも止まなかった。  式が進み、参列者が一人一輪、祭壇から切られた花を太陽のいる(ひつぎ)に添えてゆく。これが太陽の顔を見る最後の機会と思うと、二人は散々泣きつくしたと思っていたが、どうしても涙はあふれてきた。それでも式は残酷なほどスムーズに進行し、棺に入った太陽が霊柩車に乗るのを見送る。喪主である太陽の父親が、参列者に対して最後の挨拶を終えると、皆悲しみに包まれながら解散する雰囲気になった。
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