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ぽかぽか陽気の昼下がり。 午後の授業って、なんでこんなに眠いんだろう。 教室のど真ん中からちょっと後ろに下がったところが、俺こと松本陽太の席だ。 本当は1番後ろの隅っこの方が落ち着くんだけどなぁ…。 眠気覚ましにノートに書いた落書きをグリグリ塗りながら、周りのヤツらに視線をやる。 うーわ…死屍累々… 船漕いでる奴、ノートにミミズを量産してる奴、すでに諦めて机に突っ伏してる奴。 先生は見て見ぬフリをしているけど、さすがにイビキかいて寝るのはやめような。 先生、困ってるじゃん。 落書きをしてまでも生き残っている俺の方がレアなこの状況。 どうせ誰もみちゃいないと、俺は今日イチの大口をあけて欠伸を…しなかった。 ―またアイツかよ。 窓際の前から2番目の席。 先生から絶妙に見えない位置にいるアイツは、俺の中途半端に開いた口を指さして 、クスクス笑っていた。 口を閉じてアイツをじっと睨むと、ひらひらと手を振ってくる。 やっほー、じゃねえから。授業中だから。 西陽が差すと逆光になるから、アイツのキラッキラなスマイルに後光が射しているように見える。 …ちくしょう、拝むぞ。 前を向くように、ピッピッと黒板を指さすと、アイツはニヤニヤしながらようやく前を向く。 俺は、欠伸の代わりに深くため息をついた。 最近、1日に1回はあの謎のやり取りをする羽目になっている。 おかげさまで目は覚めるけれど、疲労感と羞恥心でグッタリくるのだ。 気を取り直してノートを取ろうとすると、黒板消しを持った先生が、書こうとしていた場所の前で待ち構えていた。 先生、まだそこ消さないでね。
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