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6. そして星の下、酌を交わそう
一口でいった私とは対照的に、暗月が半分だけ桃を齧る。
果汁が滴り、私の指を濡らし、手のひらに降りてゆく。それでも暗月が私を見つめたままだから、身動きせずに彼を見つめていた。
二口目、私の指ごと彼は桃を食む。
指も一緒に甘噛みされ、舌で桃が擦り潰され、指に塗れ、舐れた。
「んっ……」
その感触が気持ち良くて、思わず小さく声を上げてしまい、恥ずかしくなる。暗月の口の中の桃は嚥下されるけれど、彼は私の指を舐ることを止めない。ずっと私を見つめたまま、丁寧に舌で指の形をなぞっていく。
しんとした室内に、水音が響いている。
飲み込みきれなかった果汁と唾液が混ぜ合わさり、指から手のひら、手首から肘まで、つぅっと垂れていった。そこでようやく、私の指は彼の口から外される。でもこれで終わらせる気は無いようで、今度はゆっくりと私の手首を握り、その垂れた果汁をなぞり、唇を這わせてきた。
ああ、そっか。
不意に気が付いた。
今から私、この人に食べられてしまうんだ。
そう納得し、体の奥からふるりと震えた。
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