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『こないだの保証人の件は、ホント有難かったで、有難う! お陰で商売も軌道に乗ってな、今度、東京に出張所を置くんでな、それで、今日は東京の帰りや!そらそうと哲也、携帯番号替えたんか?』
「それやがな・・お前、俺が保証人になったあの借金やけど、どないしたんや? まだ返済続けてんのんか?」
『ん! お陰で去年で終わったんや、今は、会社も余裕ができたし、ホンマ、あの時は助かったで!』
哲也とエミは、再び顔を見合わせた。
「それがな・・あの時のヒフミ商事がやな・・エミ、あの請求書持ってきて・・」
エミはヒフミ商事から送られてきた請求書をレターケースから取り出して、哲也に渡した。
「これやがな、この請求書送って来よってな、800万払えて、言いよるねんがな・・」
『あっ、これか! 哲也とこも送りつけとったんやな⁉・・あの借り入れには、哲也の他、4人が保証人になってくれたんやけど・・そのうちの一人からこないだ電話が有ってな、ワシが、破産したから、弁済金を払えって請求書が送られてきた・・て言うてはってやな・・
勿論、ワシが完済した件は説明したんやけど・・どうやら、何処かで情報を仕入れた詐欺群団が、裁判所に見せかけて、差し押さえの書類まで郵送してるらしいんや・・哲也には、それを知らしたろ思うて、電話するんやけど、これが掛からんのや!』
「電話替えた時に番号も変えたんや・・」
『なんでまた?・・まさかお前、ワシがまた保証人を頼みに電話してくる思うて、それでワシだけに新しい番号、知らせなんだんやな・・
それは辛い思いさして悪かったな・・そんなにも不信感与えとったんやな・・ごめんな・・』
同じ幼馴染とは思えない、なんとも優しい緒方慎一だ・・
それに引き換え、イレギュラーな妄想が、どうやら疑う相手を間違えてしまった磯村夫婦だった。
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