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『哲也って可笑しいわね! 中身も見ないで何・・ビビってんの⁉・・早く開けてみましょうよ』
エミは、台所にあった料理バサミで開封した、そして中の書類を取り出した瞬間、驚いた。
『何ですって?・・不動産仮差押事件・・仮差し押さえ決定・・だって、
哲也、あなた、一体何をしでかしたのよ!』
エミはその書類を、読みなさいと言わんばかりに、広げたまま哲也に手渡した。
「仮差し押さえ」の言葉に動揺したのか⁉ 哲也が手にする書類が、小刻みに揺れているようでもあった。
「何べんでも言うとくけどな、俺は何もしてへんからな! これは何かの間違いやてっ!」
『不動産?って、哲也、他になにか持ってる?』
「不動産て言うたら、このマンションみたいなことを云うんやろ⁉ そんなもん、他に有るはず無いやろ!」
本来、この種の通知書末尾には「物件目録」のページが添付されているはずである、
いずれ最後まで読み切ることで、まさに今、自分たちが居るマンションのことだと気づくことになる。
『哲也⁉ あそこじゃない?・・きっとあの金融業者の仕業と違うやろか?』
「金融業者?・・」
「金融業者て、こないだ、緒方の保証弁済の請求書を送り付けて来よった・・あそこか?・・何とか言うたな?・・あの業者・・
あっそうや、思い出した! ヒフミや、ヒフミ商事いうたんや・・あそこも請求書だけ送って来といて、電話もしてこんもんな?・・もしかして、こっちから電話せなアカンかったんかな?・・
なにせ保証した契約と、全然違う金額で請求してきとったもんな・・」
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